Birkinshaw, J., Bresman, H., & Hakanson, L. (2000). Managing the post-acquisition integration process: How the human integration and task integration processes interact to foster value creation. Journal of Management Studies, 37(3), 395-425. ★☆☆ 【2012年10月24日】

 スウェーデンの三つの多国籍企業Eka Nobel (現Eka化学)、Alfa Laval、ABBが行った海外企業買収事例の買収後統合プロセス(post-acquisition integration process)を調査したもの。調査は各社で合併初期の1991-92年とその4年後の1996年に行われた。調査は買収側・被買収側の両方からキー・パーソンのインタビュー調査とR&D従業員の質問票調査が行われた。

 最終的な買収成功(eventual acquisition success)は、タスク統合(task integration)と人的統合(human integration)の二つの並行した(parallel)プロセスの関数だと考えられている。これらの事例では効果的な統合は2フェーズのプロセスで達成されることが示されたらしい。フェーズ1では、タスク統合は、買収側・被買収側の間の相互作用を限定して満足解に到達し、その間、人的統合は難なく進み、文化的収斂(cultural convergence)と相互尊敬(mutual respect)に至るらしい。フェーズ2では、その人的統合の成功の上に、タスク統合が再開されるらしい。

 ただし、どうにも理解しがたいのだか、たとえばAlfa Lavalの買収に対して、被買収側のSharplesの反応は非常に否定的で、経営者から最悪の選択肢だと思われており(p.407)、買収後、調査期間中にほとんどすべてのR&Dとエンジニアリングのスタッフが自発的に辞めてしまったらしい(p.416)。それで文化的収斂が進んだといっていいのだろうか? これが彼らのいう人的統合なのだろうか? 何のために合併したのかわからない。


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