Takahashi, N. (2014). Transfirm organization view. Annals of Business Administrative Science, 13(1), 31-46.  ダウンロード


【要約】現代の日本においては、顧客や外部の利用者から見れば一つの組織に見え、かつ実態としても一つの組織として動いている「組織」が、法制度的にはいくつもの企業に分かれているケースが多い。「組織」は実態として機能しているネットワークやシステムの概念なのだが、「企業」はもともと制度であり、境界、あるいは仕切りの概念だという違いがある。企業と組織は違う概念なのだという事実をいったん認めてしまえば、複数の企業が一つの組織として機能しているといういまやまったく当たり前の光景に対する私たちの理解力と構想力は格段に向上する。こうした組織の見方に基づいた諸理論を 「超企業・組織論」“transfirm organization theories”と呼ぶ。系列、サプライヤー、パートナーシップ、アーキテクチャに基づく企業間分業、価値ネットワーク、産業集積、ユーザー・イノベーション、ゲートキーパー、情報粘着性、技術移転、トランスナショナル企業、組織文化、ドミナント・ロジックなどがtransfirm organization theoriesを構成している。超企業・組織が形成されるのは経済的理由からであろう。しかし、超企業・組織論の関心は、なぜ超企業・組織が形成されるのかではなく、形成された超企業・組織の、組織全体のパフォーマンスなのである。

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