Talke, K., Salomo, S., Wieringa, J. E., & Lutz, A. (2009). What about design newness? Investigating the relevance of a neglected dimension of product innovativeness. Journal of Product Innovation Management, 26(6), 601-615. ★☆☆ 【2011年10月19日】

 1978年から2006年までにドイツ市場で発売された157の自動車の新モデルについて、自動車の外形的な「デザイン新規性」(design newness)と技術的新規性(technical newness)が年毎の売上にどのように影響したのかを調べた論文。調査手法はややこしいというか説明不足? できるだけ好意的に解釈すると、次のようになる。まず、自動車は、大きさで6つのセグメントに分けられ、各セグメント内での他のモデルとの比較で評価が行われる。そして、たとえばトヨタのスターレットのような自動車のモデルが導入(introduction)されると、その年がt=1 (単位は年)となり、そこからt=1, 2, 3,...と時間が進む。t=1のときはもちろん新モデルは新型なのだが、たとえば5年目: t=5のときにモデル・チェンジがあって、新型(たとえば新型スターレット)が発売されると、その市場発売の年(time of market launch)に、その新型(new car)の新規性を評価する。その評価は次の新型が出るまでは変わらないということのようだ。デザイン新規性の場合は白黒写真で発売年にしたがって壁に並べて、50人(男女同数、平均年齢32歳)が7点尺度で新規性を評価した。 技術的新規性の場合は、1978年から2006年までの主要な技術的イノベーションを関連出版物から拾って、それを40人の専門家に送って、4つの次元で7点尺度で評価してもらう。そして、各モデルに 組み込まれている技術的イノベーションを調べて、その点数を合計し、さらに同じセグメントの全モデルの点数の平均で割って、技術的新規性としている。分析は重回帰分析によって行われ、新規性には tt 2 を掛けたものも係数として入れている(新型が出る度に t がリセットされるわけではないので、このことが適切なのかどうか?)。分析の結果、デザイン新規性も技術的新規性も売上に正の影響があったらしい。ただし、1978年〜2006年の真ん中あたりの1990年に東西ドイツが統一されていることを考えると、ドイツ市場を取り上げること自体が不適切ではないだろうか?


《参考文献》

【解説】秋池篤 (2012)「デザインの新奇性は製品の売り上げに貢献するのか?―経営学輪講Talke, Salomo, Wieringa, and Lutz (2009)」『赤門マネジメント・レビュー』11(3), 207-222. ダウンロード


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