Burt, R. S. (1988). The stability of American markets. American Journal of Sociology, 94(2), 356-395. ★★★

 市場の構造特性が大企業の業績に影響をあたえることを立証した研究は多数ある。その多くが特定の産業をとりあげ、時系列データを用いた研究である。だが、産業全体が構成する構造上の特徴が、米国市場における資源依存関係にどのような影響を及ぼすのかは、あまり明かにされてはいない。時系列データを用いた既存の研究の一般性を担保するためにも、1960年代、70年代をつうじて米国市場における資源依存関係を規定する構造的な特徴がどの程度、変化したのかを立証する必要があるのではないか。Burtの論文は、このような問いかけで始まる。

 これらの問題を解くために、Burtは、それまで個人、組織、国家など、何らかの行為を行う主体の関係の分析に用いられてきた社会ネットワーク分析を、産業連関表の分析に用いるという画期的なアイデアを提示する。そして、1963年、1967年、1972年、1977年の四つの時点の米国産業連関表(77部門表)を社会ネットワーク分析の対象としたのである。この続きは安田, 高橋(2007)で。


《参考文献》

【解説】安田雪, 高橋伸夫 (2007)「ネットワークで定義した米国市場の安定性と利益率―経営学輪講 Burt (1988)」『赤門マネジメント・レビュー』6(11), 589-596. PDF


Readings BizSciNet

Copyright (C) 2017 Nobuo Takahashi. All rights reserved.