Schein, E. H. (1985). Organizational culture and leadership: A dynamic view. San Francisco, CA: Jossey-Bass.
邦訳, E. H.シャイン (1989)『組織文化とリーダーシップ: リーダーは文化をどう変革するか』(清水紀彦, 浜田幸雄 訳). ダイヤモンド社.


 シャイン(Edgar H. Schein; 1928-)は、ヨーロッパ、メキシコ、オーストラリア、シンガポールで教えたりコンサルティングしたりしたときの経験が米国での経験と比較して非常に異なると感じ、また同時に多国籍企業では、かなり異なる各国の文化の中でも驚くほど似通った方法でことを進める現象があることにも気がついた。つまり、多国籍企業はそれ自身の文化をもっており、しかもその文化はそれぞれの国のローカルな文化を乗り越えるか、もしくは少なくとも修正してしまうほどの強さを時として持っているように見えたというのである(Schein, 1985, Preface)。

 これをきっかけにシャインの組織文化の研究が進められたわけである。ここでシャインの定義する文化とは、観察できるような行動のパターンではなく、ある組織の基礎をなしている諸仮定の織り成すパターンである。この基礎的仮定のパターン(a pattern of basic asumptions)は外的適応や内的統合の問題に対処することを学習する際に、当該組織が発明し、発見し、発展させたものである。これは十分よく機能したために妥当とみなされ、それ故、それらの問題に関して、知覚し、考え、感じる正しい方法として新メンバーに教えこまれる。そして当該組織のメンバーによって共有され、無意識のうちに機能し、しかも組織自身とその環境に対する当該組織なりの見方を当然のことと思えるように定義する深いレベルの仮定である(Schein, 1985, p.6 邦訳pp.9-10; p.9 邦訳pp.12-13)。

 そして、シャインは組織文化についてのある認識に達する。つまり、組織文化はリーダーによって創造されるのであり、リーダーシップの最も決定的な機能の一つが文化の創造、マネジメント、そして破壊が必要になったときはその破壊だというのである。リーダーシップと文化は同じコインの表裏の関係にあり、リーダーが行う本当に重要なことは唯一、文化を創造し、マネージすることである。シャインは、リーダーとしてのユニークな才能とは文化を動かすことであるとまで言うのである(Schein, 1985, p.2 邦訳p.4)。


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