Taggar, S. (2002). Individual creativity and group ability to utilize individual creative resources: A multilevel model. Academy of Management Journal, 45(2), 315-330. ★★☆ 【2013年1月9日】

 議論が複雑で分かりにくい論文である。なので、私なりに簡単に整理すると、この論文は、集団の創造性(group creativity)は、個人の創造性(individual creativity)の総計に過ぎないのか? という課題を扱っている。結論的に言えば、両者には乖離があり、その乖離は「チームの創造性関連プロセス」(team creativity-relevant process; TCRP)によって、ある程度説明ができると主張している。その手順は、次のようになる。

  1. 個人の創造性を測定し、個人の差異(differences)・行動(behaviors)を説明変数とする三つの仮説H1〜H3の検証を行うことで、個人の創造性の測定の妥当性を吟味する。
  2. 個人のTCRPを測定し、個人の差異との関係に関する三つの仮説H5〜H7の検証を行うことで、その妥当性を吟味する。
  3. 集団レベルの検証は、基本的に総計した値で行われる。個人の創造性の総計と個人のTCRPの総計「総TCRP (Aggregated TCRP)」を説明変数として、集団の創造性を被説明変数とする回帰分析を行う(仮説H4)。
  4. 集団レベルの総TCRPは個人レベルの行動にも影響するというクロス・レベルの関係(仮説H8)も検証する。

 以上のことはFigure 1 (p.316)にごちゃまぜに図示されているので分かりにくい。Figure 1では個人の創造性は一つしか図示されていないが、総「個人の創造性」と個人の「個人の創造性」を別々に図示して、集団レベル(3)と個人レベル(1+2)の上下2枚の図に分離して立体的に図示すべきである。


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